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2011年12月28日 (水)

It won't be long の生まれの不幸

切れ味鋭いつかみ、初期ビートルズを象徴する yeah, yeah のキャッチーな掛け合い、単純だけど明快なギターリフ、descending chords による小洒落たミドルエイト、そして Please please me にも通ずるような be long と belong の駄洒落。3分にも満たないポップソングにこれでもか、と仕掛けを埋め込んでトドメにジョンのよくドライブする声をのせる。
なんでこれをシングルにしなかったんだろう、She loves you , I want to hold your hand と並んで、63年3部作になり得たんじゃないかとか思っていたのだが、毎日繰り返し聴いて歌詞を確認しているうちになんとなく分かってきた。
まず、あまりにも「ビートルズっぽい」。イントロドンで入ってその後のコードの流れやyeah, での掛け合い。駄洒落も。…彼らの戦略は「これで当たったからもう一発その路線で行こう」を敢てやらないところにある。ザ・歌謡曲の発想をやらないからこそ8年間とは言えフルスピードで駆け抜け得た。あ、これ前の○○って曲に感じが似てる、と言われることにこれほど忌避感を持ってたバンドもそうない。だからこそ、一度使った手が散りばめられたこの曲はシングルに出来なかったはずだ。
そしてもう一点、歌詞があまりにもくだらない。まあこの時期の曲はどれもそう大差ないのかも知れないけれど、この曲の歌詞はほんとうに鼻クソだ。唯一、上に書いた駄洒落が効いてるだけで、とくにここに登場する一人称 "I" の主はもうどうしようもない。you が coming home するまで毎晩 tears が my eyes から come down するし、毎日 done nothing but cry だし、逆に彼女が来たらもう毎日が will be happy なのを I know してるわけだ。アホか。
たぶんはじめに駄洒落を思いついちゃったもんだから、そこから無理矢理つないでったらこんな歌詞になっちゃったんだろうな。よくジョンがこんな情けない男を歌ったもんだ、しかもあれだけドスを効かせて。
まあ敢て言えば It won' t be long というフレーズ自体は実はロックンロールの永遠のテーマだし、そのリフをジョンが叩きつけるように歌うのは、要するに行き場のないリビドーにどうにか捌け口をつけてやるというロック的に正しいおこないではある。
Billy Joel の "Until the night "くらいの内容はあるんだろう、と勝手にイメージしていたおれがむしろビートルズ以降の文芸ロックに毒されているだけ、という見方ももちろんある。
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コメント

「アホか」という所で、昔、宮崎駿が、ディズニーの「白雪姫」を「アホ娘」と言っていたのを、思い出した。
一般的に、ビートルズが歌詞に深い意味を込め出したのは、中期以降と言われているしねえ。
初期の歌詞は、時代の流行をまだ引きずっていたのかも。
ジョンが、炸裂するのは、有名どころでは「Help」「Nowhereman」くらいかな?

投稿: sing | 2011年12月28日 (水) 03時09分

時代の流行を引きずった能天気なだけの歌詞ならまだいいんだ。この曲の歌詞は追ってみるとつくづく情けない。この時期のジョンはまだまだマッチョであろうとしてた筈なんだけどなあ。

投稿: histamine | 2012年1月 7日 (土) 09時43分

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