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2010年2月25日 (木)

メンデルの法則と学習指導要領

sing への返信を書いてたら長くなってきたのでエントリを別に立てておく。以下メンデル遺伝の扱いについて。
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いや、僕らの世代は中学校で3:1をやってる。高校で重ね塗りをするのでその辺ごっちゃになってると思います。てか、中学教科書からメンデルが消えたのは現行(平成14年~)の学習指導要領からなので、そう古い話ではないです。

また科学史的にみるとメンデルの学会発表が1856年、減数分裂の発見が1883年なので、メンデルに倣えば減数分裂に触れることなく遺伝法則を説明することは可能。かなり抽象的になるような気もするんだけれど、そこは義務制の先生たち、基礎概念の刷り込みに長けてる(と思う)。九九や面積の公式のようになんとなく分離比を受け入れていた記憶があります。

やっぱりね、高校ではじめて分離比の話とか聞くと相当面食らうみたいです。ノリも義務教育とは違うので、つい抽象的な話は抽象的なまま構築しちゃおうとすると、そもそも比の概念が脆弱なのでお手上げになりかねない。他教科でもゆとりカリキュラムだからということもあるんだけど、まず中学出たての子には分数が比を表示するという感覚はない。それは自分を振り返ってもわりとあやふやだった気がするので一概にカリキュラムのせいばかりではないのかな。発達段階とかそういうことになってくるのかも知れないけれど、ただ実はこの手の統計的概念とか手法とかって、科学リテラシの根幹にかかわるところだから、科学教育を見直すのであれば義務教育の算数・数学から確率・統計につなげるラインをもっとじっくり練り上げる必要があると思う。

ゆとり政策そのものに対しては、表面的な叩かれ方しすぎな感想をもっているのですが、いろいろ問題もあるとは思う。ただまあ「最低限必要な教養」というのがどのラインになるのか、は人によってまちまち。大体森善朗のような無教養が文部大臣やら総理やら出来ちゃう国だからなあ。

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と、ここまで書いてからいろいろ確認してたら実は平成14年の改訂よりさらにその前、高校への理科Ⅰ導入と連動して中学教科書から一回消えてる、ということを発見して驚いた。http://www.asahi-net.or.jp/~hi2h-ikd/biology/bioiden.htmつまり sing の指摘通り、ぼくらの世代は高校で初めてメンデルを習ったことになる。それにしちゃ妙に中学で3:1(どころか9:3:3:1まで)をやった記憶が鮮明なのは、たぶん指導要領の変わり目で、中学校の先生が以前の指導案をそのまま生かしてやってたんじゃないかと思う。逆に教科書に忠実にやってるところでは、まったく習ってないことになるし、当然高校入試には一切出てないはずだ。

メンデル遺伝という単元はすなわちこの四半世紀ほど、指導要領改訂のたびにあっちからこっちへと投げ返されているわけだ。そういえばぼくらも高校へ入った当初、英語のみのり女史から、あんたたちは高校で学ぶ英単語が極端に少なくなったからまともにやってたら浪人とは勝負になんないわよ、みたいなこと言われてたな。Wikiとかで細かな改訂実施時期確認してみたらなんのことはない、おれたち最初のゆとり世代じゃねーか。

それでもおれたちの同級生は理科Ⅰやってるので、理科については最低限の共通言語があるのだけれど、平成14年実施の第7次改訂からは選択によってメンデルに一切触れずに卒業していくことも往々にしてあり得た。Dscn0180

ところでメンデルそんなに偉いのか現代分子生物学やるのに必要ないんじゃないのかという意見も結構あったりするのだけれど、このトピックって生物学の必須項目というよりは前半で触れたように科学リテラシの入門編としてよくできた教材であり、科学史的な流れも踏まえて、生物学を定量的に捉えるための一里塚ではないか、というのが私見。この程度の記号的操作はさらっと飲み込んでもらわないと、定性的というより印象生物学のまわりをぐるぐるまわって終わってしまう。(現状ほとんどそうなんだけど)。そのためには前段階で算数や論理学のトレーニングがもう少しあっても良いんだけどなあ。

ずいぶん長くなってしまったがあとひとつ。今日採点業務中に気が付いてまわりに確認したのだが、現行では中学でメンデルやらないくせに減数分裂は、やってんだ。もう訳が分からない、というほどでもないけど。その順序で切り離しちゃっていいのかなあ。

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コメント

いやあ、些細な書き込みのために、いろいろと調べ物させてしまって申し訳ない。
そうか、我々の世代辺りから「学習内容の圧縮・削減」が行われたのね。
「ゆとり世代」の先駆けか…orz。
しかし、「メンデル」やらずに高校卒業してる人たちがいるというのは、驚きだなあ。
そういう人は結婚して
「オレはA型で、お前(ヨメ)がB型なのに、なんで産まれた子供がO型なんだ!お前、浮気したな!」
とか言ったりするんだろうか。
いや、これは余談。
こんなオヤジになってから言うのも何だが、子供の頭にはどんどん詰め込んだ方がいいと思うな。
脳みその鍛錬は、若いうちにやっておくべきだと。
その少年(少女)たちの脳みその鍛錬を、日々努めておられる。
ご苦労さまです。

投稿: sing | 2010年2月26日 (金) 04時41分

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